2010年7月25日日曜日

恐怖は人をコントロールする




朝起きて、フルーツを食べ、お茶を飲んで、マックに向かった。口の辺りが変な感覚になる。唇の後ろがしびれて来た。めくってみるとプクーッと腫れ上がっている。みるみるうちにそれは大きくなり、そこだけ麻酔をかけたように感覚がしびれて麻痺して来た。こっ、、これはいったいなんだ?ヘルペス?

あわててもしょうがないので、そのままほっておいた。あれから3時間たつ。ずいぶん小さくなった。しびれの感覚もなくなった。あれはなんだったのだろう?
たぶんここんところの暑さで寝苦しかったし、まだ夏の身体になりきっていないのだろう。どこかが疲れているのを教えてくれていたのかもしれない。

こんなときは、慌てて薬局や病院に駆け込む方がいいのか。そうテレビでは教えてくれる。もしもの時のために、万が一大変な事になったら。あとで後悔しないように、などなど、たくさんのキャッチコピーと一緒に。
人をコントロールする方法ってしってるかい?簡単だ。恐怖を植え付ければいい。なんてひどいことをいうの?つくしちゃん。え、だってそんな事みんな日常茶飯事でやっているじゃん。そうするのがあなたのためだから、とかなんとかいっちゃって。

先日も身体の事に気を使う友だちが教えてくれた。
「つくしちゃん、UVカット使わなきゃダメよ。使わないとこんなことになるのよ」
彼女は肘から先がシミでいっぱいになった腕を見せてくれた。
「え、こんなになるの?手のまわりを何かでおおわなかったの?」
「クリーム塗って、洋服でおおってもこんなになるのよ。あなた気をつけなさい。今は太陽光線がとっても危ないから、どんなにしてもこうなるのよ」
「なんにも塗らないけど、シミにもならないよ」と私。
「それはまだ1年ぐらいしか野良仕事をしてないからよ。私なんか4年だからね」
そこまで野良仕事に精を出しているのかと感心したが、彼女はダンナさんの手伝いをするぐらいだとも言っていた。
しかしUVカットしても布で覆ってもシミになるんだったら、何もしないでもおんなじじゃないだろうか。ひょっとしたら、そのクリームでシミになったのではないかと疑ってしまう。だって、肘から上にはシミは無かったのだ。もし太陽光線でシミができるなら、足にも服でおおわれている身体にもできないといけない事になる。しかし彼女のシミは肘から先だけだった。

人は「気をつけなさい」と言われると、どこかでドキッとする。心がきゅんと小さくなるのを感じた事はないだろうか。反対に「だいじょぶよ。なんとかなるさあ」といわれると、こころがほどける。
実は「悪い事はいわないわ、あなたのためだから」と忠告してくれる言葉の中に二つの意識がある。私は親切ないい人である、と言う自負と、あなたよりしっているという自負。しかしそのもっと下の方に自分のペースに持っていく力があるのだ。
しかしその友だちもまた、「こうでなければいけない。あれしちゃいけない」と、恐怖によって自由をうばわれコントロールされているのだ。

政治が悪い、国が悪い、システムが悪いから私たちは自由がない、この国にコントロールされているのだと思い、この世の不幸を嘆いてもあまりにも漠然としている。それをなんとかしようとするのは、巨大な壁に向かって「コラーっ、倒れろこのやろ」って叫んでいるようなもんだ。

恐怖によるコントロールは、まさに日常の何気ない会話から生まれているのだ。


絵:SFマガジン9月号カットイラスト『トウキョウ=マガイ』

6 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2010年7月25日 23:22

    私にとって恐怖の状態は、狭い閉じられた空間に、身動きできない状態で、仰向けで寝せられること・・。
    あとは崖の途中の横穴にやはり仰向けの状態で埋められ顔だけ出てること・・。
    勿論、他にもいっぱいあるけれど、この二つがダントツ!かな・・・。

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  2. って、その恐怖ってほとんど棺桶の中じゃん。
    あと、崖の途中は、確かインドネシアかどっかの原始人のお墓じゃなかったっけ?
    どーも、ぱぱさん、昔死んだあとに、生き返った記憶があるな。

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  3. まいうぅーぱぱ2010年7月26日 23:23

    かねぇ・・・。
    うつ伏せも恐怖なんですが、身が震える
    のはやはり、仰向けなんですよね・・・。
    だれでもそうか・・。

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  4. むかし、土葬のお墓をあけると、10体に1体は暴れたあとがあると聞いた事がある。
    お葬式にも、お通夜やなんやかやと行事があって、すぐに埋葬しないのは、そういう帰って来るかもしれない時間稼ぎをしていると言う話も聞いた事ある。

    そろそろそーゆー過去は忘れなさい(って、なに決めてかかってんだ?)。

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  5. 塗った部分だけシミになっていたら、真っ先に日焼け止めや化粧品を疑ってもよいはずなのにね。

    ずっと『年頃になったら化粧品を使わないといけない。使わないととんでもないことになる』という強迫観念を植え付けられていると、それを疑うことすら思い付かないのですよね。

    『そうするのが当たり前』が何故当たり前なのか、本当に当たり前なのか、考えてみなくてはならないと思います。

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  6. そう、ラムチョップさんの言うように、人は一番最初に教えられた事がインプットされて、「そのようである」と思い込んだら命がけ(?)、それ以降全くそれにギモンも持たなくなるのである。とくに強迫観念めいたものはなおさらであーる。
    このさい、何でもかんでも疑ってみましょー。

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