2010年7月24日土曜日

妖怪VSやまんば





ものすごーく暑いので、畑にいくのが恐怖である。近所のおばあちゃんは、草取りに朝4時にいくそうだ。そっか、朝早いと楽なんだ。と、6時に起きる。しかしこのところの夜の蒸し暑さで睡眠もままならない。起きてもほげーっとしている。なんとかムリヤリ7時半に家を出る。
畑で草刈りを開始。もう暑い!ぜんぜんだめじゃーん。死んでまうがなー。
しょうがないので小屋の陰に隠れて乾かしておいた種取りをする。身体がなれて来たのをいい事に、も一回草刈りに挑戦。あかん。もっと温度が上がっている。これはほとんど危険信号。
それにしても草さんはえらいのー。このクソ暑いのに元気だ(いやみ)。

南のフェンス脇に勝手に生えて来た実生のこだまスイカが小さな実をつけ始めた。種取りして苗で育てたものよりも、そこで落ちて育った苗の方が全然強かった。これもサルさまのおかげ。去年そこで食い荒らしてくれたから、そこから種がこぼれたのだ。一番合うところで、ちょうどいいタイミングで植物は育っていくのだろうか。ひょっとしたら時期外れもまた、昆虫に食べてもらうために育つのかもしれない。なんにせよ、それぞれの役割のためにその場所で、そのタイミングで育つのかもしれない。


昨夜、近所の『妖怪』(とわしらが呼んでいるおじさん)が有機農法で育てた野菜をたんまりくれた。わしらの畑になんにも育っていないのを見越して差し入れてくれたのだ。ぷっくり太った加茂ナス、米ナス、白ナス、キュウリ、ゴーヤ、トマト、ジャガイモ!思わず小躍りする。
すると妖怪は、
「文明を信じなさい」といった。
妖怪は、しっかりきっちり有機の肥料を入れ、虫を自然な方法で(?)殺していく、有機農法の達人だ。やまんばの農法は、そこらの山の中の草むらと一緒だという。
「わしらは農耕民族だろ。野人のような事してどーする」
ともいわれた。ニコニコしていうので(いや、元々そういうお顔らしい)、怒られている気がしない。
「野人でいーもん!」
と、やまんばはもらった野菜をゆすりながらたてつく。

別に文明を信用していないわけではないのだ。文明を否定したら、私の仕事がなりたたん。ちゃっかり文明の中で生きているやまんば。
しかし西洋の文明の中で生活してみると、自然と常に対峙する彼ら西洋人の文明に少々(いや、おもいっきり)ギモンを持ったのだ。全的に見ない、目先の事だけを見て、その場限りの方法論を見つけてくる彼らのアイディアの根本的なところに大きなギモンを感じた。その方法論のまま進んでいけば、やがてニンゲンは行き詰まる。(ニンゲンだけが)今、日本はその西洋人が作ってきた道をひた走っている。かつて自然と一体となって自然に耳を傾け、自然とともに生きて来た民族だった日本人。こんな先端の文明社会の中に位置づけられながら、(ま、細かい事は抜きにして)国土の70%前後も自然におおわれている。この信じがたいうまい調節は日本人ならではの感性に違いないのだ。

虫の草も必要だからいる。その中で育つ野菜は自然の姿、野生そのものだ。その野生のパワーをいただく事ほど大胆で贅沢な事はない気がする。
ニンゲンの身体も自然そのもの。汚いからと石けんで洗い、皮膚がぱりぱりするからといって化粧水で補い、油が出るとシャンプーで洗い、ごわごわするといってリンスで補う。虫歯になるといって歯磨き粉を使い、その結果、抜け毛や皮膚病やアレルギーになる。これは野菜に肥料をやって、チッ素過多で虫を呼び、思いあまって農薬かけて、あげくに身体の調子を悪くするのに似ている。
なぜ自然を信じないのか。なぜありのままでいられないのか。なぜ、なんとかしなきゃと思うのか。

しかしだなあ。そうやってぶつぶつ考えたところで、やまんばは、妖怪にその一言も言えないのだ。この気の小ささよ。しかもわしらの畑のナスが長さ3センチなのに、妖怪んちのナスは直径が15センチはある!人は比べて不幸になる。思わず比べて哀しくなる。3センチのナスを持って、「この方法がいーのだ!」と言ったところで説得力まるでなし。

自然の摂理の中で生きると覚悟するには、自然が持っている時間の流れも自分の中に組み込んでいかねばならないのだ。はあ〜。



絵:SFマガジン9月号カットイラスト『トウキョウ=マガイ』

4 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2010年7月25日 23:25

    だから、数年先を見てろよ!と・・・
    言いたいよねぇ・・。
    一生言えなくてもいいじゃん!!
    って、いつも口だけ・・すんません・・・。

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  2. そーだあー!数年先を見てろよ〜!
    と、言ってやって、言ってやって、ぱぱさん。
    私、後ろでかくれてるから。

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  3. こんにちわ。
    以前『石けんなし生活』を見て、石けんシャンプーもやめてみよう♪と投稿した者です。あれは、いつごろだったか…?
     
    はじめの数週間は、お湯で洗っても翌日には、頭皮に湿ったフケのようなもの(引っ掻くと爪の間に溜まるような…!)ができてしまって大変でしたが、気がつくとその症状がすっかりなくなってきました。頭皮が、今までみたいに頑張って無理に代謝しなくてもいい、と気付いてくれたのかもしれません。
     
    今は、1週間〜10日に一度のペースで石けんを使っています。頭皮に近いところの髪が、脂で少し重くなってくるので。
    教えて頂いたとおり、薄めた石けん液でふわふわー、っと優しく洗って、クエン酸で軽く中和&リンス。
    この間隔を少しずつ長くしていけるといいな。様子を見ながら続けています。
     
    よく、トリートメントのCMで『パサつきのない健康な重さの髪』という表現を聞きますが、今、正に自分の髪がそんな感じです(笑。
    サラサラ感はまだちょっと足りませんが、かなり健康なしっとり感。この先も頑張るための励みには、十分なご褒美です☆
      
     
    お肌もこすり過ぎ・洗いすぎを止めると、角質層(ゴワゴワの角質ではなく、きちんと水分を含んだ健康な角質層)が厚くなって、肌が本来のバリア機能を発揮できるようになるとか。
    日差しにも強くなって、日焼けしにくくなると聞きました。つくしさんも、以前そんなことを書いておられましたよね。それは私も、少しですが実感しています!
     
     
     
    過度な自然主義は苦手なのですが。
     
    今、かなりの人たちが、洗いすぎるからトラブルを起こして、なにか付けることで更に…という悪循環に陥っているような気がします。
     
    少なくとも、自分の実体験から!
     
     
     
    暑い日が続きますが、畑楽しんで下さいねー♪
     
    ウチの畑は両親が草刈り&有機施肥をしてしまって、少し野良ではなくなってきましたが(笑、先日はトウモロコシが穫れて大喜びでした。
     
    土の力、自然の営みは偉大です。
     
     
    すっかり長くなってしまってゴメンナサイ!
    これからも楽しみに拝見してます。

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  4. くるりさま、おひさしぶりです。

    ほー、石けんシャンプーもやめる方向に向かっているのですね。あ〜、これでやまんばが3匹(なんで匹だ?)にふえちゃう〜。

    少しずつでも変化があるとやる気になっちゃいますよね。ニンゲンの身体は偉大なのだ。そのフケっぽいやつも、すこ〜しずつ少なくなってきます。身体が調節しているんですね。
    とかく、今の私たちは何かが起こったら、何か足さなきゃ!と思い込みすぎている。むしろ、何か引かなきゃ!と思った方がいいかもです。いんや、引き算で生きましょう。これからもくるりさん流の実験を続けてみてください。

    自然の事は自然に任せる。私も畑で今学ばされています。
    ご両親が作ったトウモロコシ、何よりのごちそう!
    そのトウモロコシには、ご両親の気持ちがいっぱい詰まっているから、すごい栄養あるでしょうね!栄養は何も物質だけじゃあないんですよ。

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