私たちはどこかに常に悪者がいてほしい。
そうでなければ物語が成り立たない。
綺麗なお姫様と素敵な王子様が素敵なお城に住んでいましたでは物語は成立しない。
そこに魔女や意地の悪い姑がいないと物語は始まらない。
起承転結。
全ては何らかの問題勃発によって、
それを解決するために奔走し、
すったもんだあって無事解決し、
ホッと胸をなでおろし、一件落着。
しかし水戸黄門も、ホラーも、それで終わってくれたらシリーズが続かない。
また新たな悪魔や悪者が登場するのだ。。。。
そのおきまりのパターンを、そっくりそのまま私たちは日常に持ち込む。
いや、そもそもその日常があるから、小説や映画がある。
どちらも同じものだ。
その物語の発端は、この地球上にある恐れの重低音だ。
私たちはいつもその恐れの霧の中にいる。
緊張と疑いと、防御という名の攻撃と。。。
いつ敵が襲ってくるかもしれない。
いつ誰に攻撃されるかわからない。
それは他人からかもしれないし、自分からかもしれない。。。!
それに取り組まなければ、とんでもないことになる。
そんなふうに、心はいつもじっとしていられない。
やがてこの戦いに疑問を持つ時がやってくる。
どうしていつまでたっても安堵がやってこないのだろう?
過去を振り返ってみる瞬間がある。
なぜ、いつも同じ。。。?
その時、今まで自分が向いていた道が、
どこにも行き着けないのに気がつく。
ひたすら問題解決に明け暮れていた道。
どこにも行けない。。。
不意に何かに持ち上げられる。
足場がなくなる。
不安になる一方で、軽くなっていく心に気づく。
そして元いた場所を上から眺めるのだ。
それは恐れの重低音が鳴り響く戦場。。。
そこであらゆる戦いが繰り広げられていた。
悪人との戦い、魔女との戦い、自分との戦い。。。
その戦場を静けさと慈悲の心で眺めていた。
その一瞬のあと、私は再び重低音の中に戻される。
重たい戦場が目の前に。
そしてはっきりと見えるのだ。
「この世界は狂っている。。!」と。
この世界の正体に気づいたなら、
ここに安堵などあるわけがなかった。
それからだんだん与えられるおもちゃにも心が奪われなくなる。
一時的に喜びがあろうとも、
それは恐れを紛らわす、その場しのぎの幻に過ぎない。
「別の道があるはずだ」
恐れが霧のように漂っている水平の世界ではなく、
霧などない垂直に向かう道へと心は意志する。
絵:「たこ杉」
0 件のコメント:
コメントを投稿