2022年2月1日火曜日

人を嫌えば檻ふたつ



誰かのことを怖いと思ったり、怒りが出たりすると、

その人を無意識に監視するようになる。


その人のことがいつも頭の片隅にあり、

気がついたらその人に向かってエアー演説をしている。

(聞こえないことをこれ幸いと)


なぜエアー演説をするかというと、

「自分は間違っていない!」

と、心の中で一生懸命、自分を正当化しているのだ。


「ほら!だから私は正しいのよ!」と。


聞こえてねえし。



これをやっている時、その人を檻の中に閉じ込めている。

「何をしでかすか、何を言い出すか、わかったもんじゃない。

あ、た、し、が、見張っててやるわよ!」

と、檻に入れ、鍵をかけるのだ。

ガシャン!


じっと見張っているうちに気がつく。

自分も檻に入っていることに。


「あたしも入ってるじゃん!」


心はたったひとつ。

人も自分も同じ心出身なので、

人にやることは自分にもやっている。


人を監視、つまりコントロールしようとすることで、

自分までがんじがらめにしているのだ。


チーン。





相手の檻の鍵は自分が持っているが、

自分の檻の鍵もまた相手が持っている。(笑)


これではどっちも開けられない。


そこで登場してくるのが聖霊。

この戦場の世界を上から見渡せるスーパーマン。


「お願いします。聖霊さん。

私は兄弟を監視して、いつの間にか檻を作っていました。

鍵までかけて。


私は間違ってました。

でも自分じゃどうすることもできません。

この二つの檻をあなたに捧げます。

訂正を受け入れます。

どうか取り消してください。」


私はイメージで、二つの檻を聖霊の祭壇に捧げた。


やがてそのイメージの中に光が広がり、

二つの檻も、私たちも消えていった。


でもそれがどうなるかなんてどうでもよくなっていた。

その人を檻に入れていたことに気がついたことの方が大事だった。

それを聖霊に渡せたことが嬉しかった。



しばらくすると、気がつかないうちにその人は私の愛おしい人となっていた。


やることが粋だねえ、聖霊さん。






絵3点:ミステリーブックカバーイラストbyTsukushi







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