2019年3月2日土曜日

思い込み段ボール箱



誰かに対する思い込みがある。
この人はこういう人って。
たいていは、あまりいい思い込みじゃない。
この人は短気だとか、アホだとか、どんくさいとかネガティブな思い込み。



心を観察していくことを重ねるうちに、自分の心のパターン、何に不安を感じているのか、何を怖がっているのかを知る。
そしてまた他人に対する思い込みも見つけはじめた。

知らないうちに、誰かのことをブツブツと考え、その思いの中に巻き込まれて時間がたっている。
心はどうにかしてそのだれかさんを変えてやろうとか、回避しようとか、考え続けている。



どうも思考は、何かしらその方法を考えついたら、解決できると思っている。小学校のころから叩き込まれた方法論だ。
問題を提示されて、答えを出す。それで一気解決♥

だが現実はどうだ。他人を「解決」させようたってムリだ。
他人をどうこねくり回しても消去できない。せいぜい自分が「逃げるが勝ち」「なかったことにする」ぐらいの、消極的な方法論しか出て来ない。



Aさんに対する思い込みがある。
それは過去に焦点が当てられている。過去Aさんがやってきたことを、だいじに抱え込んでいる私がいた。
Aさんという段ボール箱に、Aさんの過去がいっぱいつまっている。これは客観的なものではない。あくまでも私視点だけの過去の記憶だ。


それを一気に消去する。
だってえ〜。
Aさんっておもいだすだけで、自動的に自我さんは、Aさん段ボール箱を
「ハイハイ、これね」と、もってきてしまうのだから。
するとあれやこれやの思いと一緒に思考が次々と膨らむのだ。
それってたとえ目の前にAさんがいても、Aさんをあるがままには絶対見られない。

だから私はそのAさん関連の記憶がいっぱいつまった段ボール箱を目の前に持ってきて、
「はいっ!これは私の単なる思い込み。それを今までだいじに持っていた私を赦します。神さま、消去して下さい!」とやる。

するとふしぎなことに思いだせなくなる。Aさんが過去にやったこと。
えーと。なんだっけ?
それでも日常生活に支障はない。Aさん記憶がないからといってその人と関わっても困ることはなく、ことは淡々と起こっていく。



段ボール箱消去で何が起ったかというと、心の重荷が消えていく。他人に対する思惑が消えていく。ああ言われたけど、それって、どうなの?とか、ああ、今ごろあの人は私のことをうんぬん。。とか、スコーンと抜けているのだ。
これをやっていると、どんどん軽くなってきた。


自我の塊である私たちは、目の前にあるあらゆるものに名前を付け、解釈をくわえている。
目の前のパソコンには、パソコンという名前だけでなく、いろんなイメージをくっつけている。
すぐ壊れるもの、壊れたらお金はかかるし、やっかいやし、めんどくさいし、人に助けを求めんといかんし、捨ててしまいたくなるし、それでもこれがないと生きていけんし、、、、うんぬんかんぬん。。。

たった1つの物体に対してさえも、これだけの思い込みをかかえている。
コーヒーカップ、ストーブ、テーブル、木、、、それぞれにいっぱい過去の記憶をくっつけている。その色眼鏡で目の前のものを見ている。そして自動的に心はその記憶に揺さぶられている。
それが人となったら、もっとすごい観念や記憶の塊がある。道行く人には興味は示さないが、身内や職場や気になる人に関しては、巨大な思い込み/観念でいっぱいなはずだ。



あるがままに見るという言葉がある。言うは易し、行なうは難し。とてもじゃないが、あるがままになんか見ていない。記憶のメガネでしか見ていない。

だからやってみた。
他人への記憶の塊をここに出してきて、それを消去してもらう。
自分の目の前に出してくるのは、そこに光が当たるから。

はっきり言って、気持ちの良いモノではない。自分の醜い部分も見せつけられることになる。それでもそれがいちばん大事な部分。人は自分の醜いものを見たがらない。それを他人に渡して、それを見ると言うことをやっている。他人に嫌なものを見る時は、それが自分にあることを教えてくれている。この世は投影だといわれるゆえんはここにある。

だから私は自分の醜い部分をいっぱい見る。
最初は耐えられないが、そのうち笑えてくる。
どこまで残酷やねん!と。

そしてそれは、どこかで知っていた。
醜くありたい、残酷ってどういうものか知りたい、苦しみを味わいたい、
恐怖を味わいたい、不安ってどんなもんなんやろ?
それを知りたがっている私がいた。
それを他人を通して味わわさせてもらっていたのだ。



パソコンの中身を整理するように、
心の中身を整理していこう。

一個一個、自分を重くしていた思い込みを消去していこうとおもう。

思い込みって、
重いゴミなのよね(笑)。




絵/いちい




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