2016年10月14日金曜日

すこしだけ、かいまみせてもらった


お風呂につかってぽかんとする。
白い天井、白い壁、少しカビが生えたすみっこ。
浴槽のふちにあたまをのっけて、
首から下が、じーんとあたたかくて、
しろい湯気が、ほほの上でたわむれる。

「これ、しかないんだなあ。。。」

あたまの中は、さっきまでの出来事を追いかけようとする。
けれども今は、それがなんだか、
100mとおくのほうにいる。

さっきまでの出来事、思い、いろんな感情、
そんなものが、すっぽりぬけおちて、
ただ今、ここにある風景。
お風呂の風景、暖かさ、電車の音、湯気の香り、
それだけがここにあった。

この世には2つの次元がある。

目の前に展開する現象、
そして、
あたまの中でアレコレ考え、騒ぐ世界。

私たちは、あたまの中で騒ぐ世界に、
心のほとんどを占領されて、
右往左往する。
目の前にあるものを、
あるがまま、そのままみることがほとんどない。

非二元は、そんなふうに言う。

頭ではそれを知っている。
だが、それがどう言うことか、
身をもってわからなかった。

でも、今、
ただ見ている風景にしか、心はなかった。
心は、ぽかんとし、
しずけさがあった。


すこしだけ、それをかいまみせてもらった。

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