線路際にある原っぱで、近所の悪ガキオヤジたちが梅林の剪定を終えてたきぎしている。やまんばが買い物帰りに前を通ると、
「おかえり~」と、声をかけてくる。
「ただいま~」と、返答する。
すると、こっちこっちと手招きをするので集まりに加わると、ゴールドに輝く缶ビールをどこからかもってきてくれた。
「おお~、ありがとうございます~」とやまんば。
「ちょこちょこ顔出せや~。いーことあるし」
「へー。そーしますです」
つまみにクッキー2個と、アサリの缶詰をくれた。底に数個しか残ってなかったが、酒飲みやまんばにとっちゃうれしい。
「箸はよ~、そこらで拾えや」
足下には梅の枝が、太いのと細いのにていねいに分けられて積まれてある。やまんばは細い枝二つをえらんで箸代わりにした。長いので途中で折ってつかっていると、
「そんなんじゃだめだ。ちょっとかせや」
といって、オヤジははさみで短く切って、ちょうどいい箸の長さにしてくれた。
「こないだはイノシシにしてやられたわい」
「どーしたんですか?」
「ん、そこの裏でワナに引っかかってたでっかいイノシシがいてよお。白目むいてたから、てっきり死んだと思ってよお。ワナはずしてその日はほっぽっといたんだ。そしたら次の日に、そこにいるじゃん。」
オヤジさんは、すぐそばをゆびさす。
「えっ?そこにいたんですか?」
「そうよお。あのやろ、まだ生きてやがったんだ。だまされたあ」
完全に死んでると思ってたのにじつはまだ生きてて、ヨロヨロここまで歩いてきたようだ。それでそこでコトキレタってわけだ。
「んでそこに埋めた」
「えっ、え~~~っ、そっ、そこに埋まってるんですか?!」
「おう」
「ど、、どこ、、?」
「おしえてやるべえ」
そういって、オヤジは少しこんもりした土の山につれてきた。
「ここ、ここ」
もってきた木の枝でまた掘り返そうとする。
「そんなに深くほってねえから、すぐ毛が出てくるで」
「え、いい、いい、おじさん、ほらなくっていいってば!」
あせるやまんば。
「食うか?」と、にやりとする。
そんなの、いらねえよ!
「イノシシはしとめるけど、サルはどうなの?」
と、前から疑問に思っていたことを聞く。
「サルはあ~、やんねえ」
「なんで?」
「猟師がいうんだ。サルに鉄砲向けるのがやなんだってさ。人に似てるだろ?だから人うつみたいでよお」
あ~、わかる気がする。
「イノシシはよお、豚みたいなもんじゃねえか。鉄砲向けるのにゃ、抵抗はないさ。
それによお。こないだテレビで言ってたぜ。鉄砲向けると、サルは手を合わせて懇願するんだとさ。『後生です、どーかおたすけくだせえ』とな」
人はサルの悪知恵にまんまとひっかかるのであった。
イノシシ埋めたって話は嘘くさいね・・・(笑)
返信削除食べたんでしょ?
やっぱ、ありゃ、食った後の話だな(笑)。
返信削除