2013年12月6日金曜日

勇気をもらう畑



Pちゃんが畑にいた。めずらしいことだ。畑の帰りに見かけたので、からかいにいく。彼女はやまんばの家の近くの一角を借りて畑をしている。忙しくてめったに来ないので、畑はいつも草ぼーぼー。

その日は『ほったらかし農法』(今、やまんばが命名した)で育ててた大豆をひっこぬいて、そこへ新たに種を蒔いていた。
がーっとクワで畝を作り、がーっと手で溝を掘り、がーっと種を蒔く。草も石ころもいっしょくだた。
「今、何蒔いたの?」と私。
「しらない」とPちゃん。
すごい。(笑)

彼女が育てた大豆はきれいだった。
やまんばの大豆は、ことしやっとこさエダマメらしきものが食べられたが、その種を取ろうと大豆を育てたところ虫に食われて無惨。。。乾かした豆をとってみると、3分の2がシンデいた。

それに比べて彼女の大豆はどーだ。ほぼピッカピカ。なんでやー!しかも栽培がむずかしい黒豆までできている。
彼女いわく、
「あ~、黒豆も一緒に混ざっとったー」ぐらいの感覚でしかない。ほったらかし農法でも出来るんかいなー。
おそるべし、Pちゃん!

「次、何蒔こう~」
といいながら、いろんな種の入った袋を物色。そこでソラマメの袋を発見。中をあけると、宝石のラピスラズリのよーなメタルブルーなソラマメの種が出てきた。消毒などをコーティングした種だ。

「げげ~、なんじゃこりゃあ!こんなん蒔くのいやや~」
と、おもむろにバリバリとメタルブルーのソラマメの皮を剥ぎだした。中からなまっちろい裸のソラマメが出てきた。冬空の下「あら、いや~ん」と、寒そーだ。やまんばはソラマメが気の毒になって、そのまま植えたら?と提案。うなずいてガシガシ畝に突っ込んだ。全部使い切ってしまいたいらしく、余ったメタブル種をとなりに積んであった落ち葉の中につぎつぎと突っ込んだ。
おそるべし、Pちゃん!



やまんばの畑は、まわりの畑のおじさんやおばさんに勇気を与えている。草取りしなきゃと心配する人々に勇気を与え、育ちが悪いと嘆く人々に、
「あそこの畑よりゃあ、ウチはマシだ」
と思ってもらえるやまんば畑。

だけどわたしゃあ、Pちゃんに勇気をもらう。
「あそこよりゃあ、マシだ」と?
ちがうんだな。
彼女の行為を通して植物の神秘に驚かされる。「うしろむきな勇気」ではなくて、何か大きなヒントをもらっている気がするんだ。

彼女にはやまんばにあるような欲深さがない。何か私とはちがう植物への接し方をしている。その違いは一体なんなのか、はたまた植物はその二人の差異にどういうふうに反応を変えているのか。いわゆるグリーンサムと言われている人たちはどういった心持ちでいるんか。そんなことを気づかせてもらっている感じがする。そこに何かあったかいものを感じるんだ。それが勇気やよろこびを与えてくれてる。
そんなPちゃんにひそかに感謝しているやまんばなのである。


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