ないしょなんだけど、やまんばは心配性で恐がり。
船酔い、車酔い、ヒコーキ酔いは得意ちゅーの得意。
あろうことか、こないだ台風一過のあと風にあおられながらヒコーキに乗った。
「ひえ~こわいよこわい、よったらどーしよー、げろはいたらどーしよー。。。。
よし、とりあえずゲロハキ袋はここにある」
と、袋の場所を確認し、座席に着く。
びゆ~んと飛び上がった直後、がくんと降下する。。。!!!
ひっええええ~~。。。。
この先どーなることやら。。。。
恐怖に駆られながら、ふと名案を思いつく。(そらきた)
よし、ヒコーキになろう。
ヒコーキそのものになったら、ジェットコースター並みに上下左右するのはお茶の子さいさい。場合によっちゃくるんくるん回転したって、ヒコーキってばそんなもんじゃん。
その動きに抵抗するから怖いのだ。その動きを止めようとするから疲れるのだ。
やまんばは眼をつぶって、胸のまん中に意識をこらす。胸の真ん中にぽっかりと穴が空いた。そこはどこでもドアー~。そのゲートはどこへでもいけるし、何にでもなれる(そー信じている)。
やまんばの意識はそこからはいって、今乗ってるヒコーキさんと一体になった。
「ヒコーキさん、ヒコーキさん、乗っけてくれてありがとうねえ。これから一緒に羽田までいきましょう。そんでもって羽田の大地に無事に一緒に着陸しましょうーっ。ぶう~~~ん」
やまんばは自分もヒコーキになった気分になった。羽を広げて大空をたのしげに飛んでる気分になった。。。。
「間もなく着陸態勢に入ります」
というアナウンスで目が覚めた。
気がつくとゆらゆら揺れている。一瞬恐怖に陥るが、気を取り直す。
そーだ。私はヒコーキなのだ。
目をとじてヒコーキを思い出す。自分がヒコーキになると、上下することが怖くなくなる。だってヒコーキの足下はいつも空の上なんだもの。
イメージが膨らんで、一緒にフワフワと浮いてみたり、回転してみたり斜めに飛んでみたりした。なんておもしろいんだ。受け身になると怖いことも、能動的になると怖くない。
無事、一緒に羽田の大地に降り立った。
出る前、座席に手をかけて、お礼を言った。
ヒコーキを出て空港を出口に向かって歩いている時、横に誰かの視線を感じる。振り向くとそこにはジェット機の正面が。
な、なんかこっちを見ている。。。
ここは空港だから山ほどヒコーキがある。なのになんでこの機体が気になるのか。。。
ヒコーキが止まっている場所のナンバーを見る。71番ゲート。間違いない。やまんばがさっき乗ってたヒコーキだった。
ちょっとびびる。明らかにこっちに視線を送っている。
ヒコーキは、私が意識で『一体』になったことを知っていた。。。
「ありがとね。」
人に見えないように、ちょこんと頭を下げた。
八王子に向かうリムジンバスから見た東京の街は、今まで見たこともないほど空気が晴れ渡って、まるでおもちゃの街のように遠くのビルまではっきりくっきりみえた。
ひこうきさんお帰りなさい!!
返信削除びゆ〜ん、たっだいまあ〜。
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