「あたしほど自分を否定し続けてきたニンゲンはおらんとおもうがよ」
母は言った。
娘のやまんばは言う。
「いやいや。あたしほど、もんのすごーーーーーく自分を否定し続けたニンゲンはおらんとおもう!」
「あんたがようゆうよ。そんな否定なんて、ちっともするこたあない。あんたは否定するほどのニンゲンじゃない。なんでそんなに自分を否定することがある!」
「否定する意味ない?」
「ないない」
「じぇんじぇん?」
「じぇんじぇえ~ん!」
「じゃあ、かあちゃんにいわせれば、あたしゃあ、そんな必要はまったくないって?」
「そうそう、なんちゃあいらん!」
と母は断言した。
「ほれ、そのことば、そっくりあなたにお返ししますっ!!!」
「。。。。。。」
しばしの沈黙のあと。。。
「が、。。。。。がはははは~~~~~~ッ!」
電話の向こうで大笑いが聞こえた。
人はとかく自分を否定したがる。
自分を否定することによって、今の現状を乗り越えるバネにする、というふうに信じている。それが美徳にまでなっている。
だからまずは否定。
「ううん。自分を肯定なんかしちゃだめ。そのまま居座ってしまうじゃないの。だらだらしてろくな人生にならないわ。だから自分のお尻をつねに叩き続けなくてはいけないのよ。」
しかし叩き続けているうちに、
その叩いている手が疲れて、
叩かれているお尻がはれ上がり、
痛さで前に進めないことにいらだち、
さいごにゃ、座り込んでしまう自分に腹を立てる。
これはほとんどジョークじゃないか。
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