2009年9月12日土曜日

「困ったらそのままにしておけ」



畑に植えた種の芽がでたはいいけど、その元気な双葉ちゃんを片っ端からコオロギが食べてくれる。壬生菜は8割がた食われた。白菜も大根のはっぱも食われた。先日有機農法の知り合いからもらった白菜の苗もこのまま畑に植え替えると、まず100%食われるな。
コオロギは庭で夜聞いている分には「いい声だなあ〜」なんてのんきなこといってられっけど、農家の人にしたらものすごくにくったらしいらしい。私も今そんな気分。どうも土の下にひそんでいて、夜になると出てきて柔らかい野菜の葉っぱをむしゃむしゃと。

「やっぱ、薬使うしかないよ」
と、白菜をくれた人はコオロギ退治の薬を教えてくれる。
でも私は虫も草も敵にしない(ほんとはにくったらしいけど)主義なので、じっとがまんする。

畑でジッと観察していると、たくさん食われたところと、そうでもないところがある。違いを見ると、草を多めにかけてあるところがなんとか保っている。つまりコオロギちゃんは野菜ばっかり狙っているんではなくて、そこらへんの柔らかい草なら何でも食べている模様。そこで恐る恐る草ぼうぼうの中に、あらたに白菜の種を入れてみる。または食われたあとの大根の畝に、新たに蒔き直しをしてその上にも草をぼうぼうとかけてみる。すべては実験だ。

自然農のおもしろいところは、ほとんど方法論がないところ。窒素を何%、カリを何%、堆肥をこのくらい混ぜて、その後何日にこれをやって....というメソッドがないのだ。その場所場所によって、環境によってすべて変わる、という前提に立っている。だからひたすらその場所を観察するしかないのだ。
そういうわけで、私は畑に行くと作業をするよりもぐるぐると歩いて観察している時間の方が長い。はたから見てたら「草ぼうぼうの中をぐるぐる歩く人」にしか見えないだろう。

自然農の川口さんはその著書の中で「困った時はそのままにしておけ」といっていた。ホントにそうだとこのごろ思う。

以前サルが来て食い荒らしたが、退治もせずそのままにしておいたらその後こなくなった。モロッコインゲンにヘソホリカメムシ(ホントはホソヘリカメムシ)が群がった時も「こりゃお手上げだ」と思ってほっといた。そしたら、今はほとんどいない。すごい量のインゲンが取れる。きっとインゲンとカメムシさんの間で何かの取引が行われたのだろう。ニンゲンの及びもしない所で何かが行われているに違いない。川口さんのいう言葉は深い。そのままにしておくのがいいのだ。

たぶん、何かが起こったとき、ニンゲンは「大変だー!」とパニクッちゃって、どうにかしなきゃいけないと思うんだろうな。だからあれを取り除き、これを取り除きする。だけど、それがくるのは何かしら理由があってくるのだ。もしそれをとりのぞいちゃったら、どっかで自然のバランスが狂うんじゃないかな。だからそれを補うために、また虫やら草やらがでてくる。そうするとまたニンゲンは「たっ...たいへんだー!」って、またそれを排除しようとする。


先日NHKで除草剤にびくともしないスーパー雑草がでてきたという番組があったらしい。私は見ていないけど、そういうこともあるんだろうなと思う。排除しようとした結果、「ほんならこうなっちゃうぞー」と草さんが本領を発揮した。この地球上で何十億年も君臨していた植物さん。私は彼らがこの地球上のトップに位置するんではないかと思う(あ、大地の方がトップか)。その何十億年という間に計り知れないくらいの環境の変化があったに違いない。その間をかいくぐって、そのときその場所に応じてどんどん適応してきた彼ら。たかだか最近でてきたあまちゃんのニンゲン種の浅知恵にそう簡単にやられるわけがない。
「植物、なめんなよー」と言われている気がする。


そのままにしておくという行為は、うけみでありながら、じつはおかれた状況を受け入れるというとても勇気のいる能動的な行為なのだと思う。
でもさ、そんなのんきなこと言ってられるのは、これを生業としてないからだと思う。お百姓さんたちは大変だ。

だもんで、今回もそっとしておくことにする。コオロギちゃんが納得いくまで。


絵「はなたれさきち」より

2 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2009年9月12日 22:54

    っというか、サルどころかコオロギなんて何をすればいいのかわかんない・・。
    いいじゃない。そのうちいなくなるよ季節が過ぎれば・・。

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  2. そうそう、雪でもふればそのうちいなくなるよ....って、それじゃ種うえらんねえよ!

    きのう、コオロギ退治の別の方法聞きました。
    紙コップにヨゴレータドロドロの使いまくった油を入れる。そのよこっぱらに穴を開けて上にふたをして、土の中に3分の1ほど埋めておく。するとおもろいくらいコオロギさんが捕れるんだそうな。みんな油の海の中でおっちんでいるんだって。
    でもそれだけじゃ取りきれないから、その油入りの紙コップはたけの中に山のように仕込まないといけないそうな...。
    私がふんずけちゃいそーだ。畑が油まみれになりそうだ。
    でもやっぱコオロギさんはアブラナ科の植物が好きなだけあって、油好きなんだなあ。

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