いつも荷物を持って来てくれる宅急便のお兄さんはプロだ。
「あの人は、ぜったい荷物の持ち帰りがないんですよ。ぼくなんかいつも荷物を持ち帰ってしまう..。」と、土日配達の若いお兄ちゃんは、彼のことを尊敬する。
お届け時間に、受取人がいるとは限らないからだ。荷物を配達しきって手ぶらで帰るのはそうとう技術がいるらしい。
「ちわーっす。生もののお届けでーす。お届け時間が午後2時だったけど、お宅に車があったんで、持って来ちゃいました」と、午前中に持って来てくれる。いつもたむろしているコーヒー屋さんにも「やっぱりここにいた」と、届けてくれる。
この臨機応変さに頭が下がる。こういう人が荷物を配達してくれるのは心強い。
彼は、この田舎で住む人々のすべてのパターンを、まるで全部知りつくしているかのようだ。都会ではとても考えられないパターンを。
チャイムを鳴らしたら怒る人がいる。
チャイムを鳴らしても聞こえない人もいる。
そんなときは玄関を開けて、本人の耳元で「お荷物でーす」という。
家の中よりも、いつも畑にいる人もわかっている。裏口に回り、畑の向こう側に大声で呼びかける。
彼は、ウチが午前中車がないと、山の中に水を汲みに行ってることまで知っている。最近、彼は私たちがよくいくその山の入り口で車を止めて、お昼をとっている。ここならまわりに気兼ねすることもなく、休憩が取れる。
彼はいつもニコニコしている。この間孫の話しをうれしそうにしてくれた。おじいちゃんだったとは。若く見えてわからない。
ニューヨークのアパートに配達に来ていたお兄さんが、いつもぶっちょうづらしていたことを思い出す。彼は自分の仕事に誇りを感じてはいなかったのだろう。
彼は自分の与えられた仕事を大事に思っているのを感じる。そういう人がいつまでもこの町に荷物といっしょに、元気や明るさを配達してくれることを願う。
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