2017年10月25日水曜日

緑色にあえた


洋紙、ファンシーペーパーを使って、絵を制作していた頃、どうしても行き詰まった色があった。

緑色だ。

どの緑色の紙を見ても、山にあるあの緑色じゃない、植物がもつ、あの緑色じゃない。。。と、いつも「うっ。。。。」と、妥協しながら緑の紙を置いていた。

それが和紙を使うようになって、やっと緑色にあえている気がしている。
私が日頃見ているあの、緑色だ。


植物が放つ色は、緑といっても、きっと光とともにある色だ。
生きている色だ。
自らが放つ色だ。
それを紙で再現するのは難しいのかもしれない。しかし和紙を何枚も重ねて、複雑な風合いにしていくうちに、かれらの色に近づいているのを感じる。
奥深い色合いになる喜びを感じる。洋紙はべたっとした色だった。それ以上でもそれ以下でもない色。


そうだ。おもいだした。
もともと美大の授業で、べた塗りがへたくそで、それがコンプレックスになって、塗るのが嫌いになってたんだ。
「あ、最初っからべた塗りされたいいヤツがあるじゃないかこれだー!」
といって、嬉々としてべた塗り洋紙を使ったんじゃなかったかい、おい。

それがいつのまにか、べた塗りキラーイの、最初に戻っただけじゃんw
何だ。もともと「べた塗りへたくそ」でよかったんじゃね?

いんやいんや。
その時代があってこその今なのだ。
嵯峨美のせんせー、ありがとー。(いやみか?)

でも最初の違和感があってこそ、「緑」にこだわった。
緑色とはなんぞや???という、奥深いところにまで意識がおよんだ。

色を塗る。
その上に薄い和紙をかける。
もう一枚別の色かける。
そうやってやるうちに、複雑な色合いになる。ホンモノの色に近づく。
そういう醍醐味が和紙にはある。

今、ちょうど山の緑は別の色に変化しようとしている。
その途中経過が、なんともいえず美しい。
雨にぬれるかれらの世界をただただながめ、目に焼き付ける。

上の絵:「アケボノソウ」/和紙、水彩、色鉛筆
友だちが撮ったアケボノソウの写真がとてもきれいで感化されて作った作品。小さな世界に宇宙があった。

下の絵:「むかご」/和紙、水彩、オイルパステル
庭の桜の木に絡み付いた山芋のつる。

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