2017年9月1日金曜日

この世には私しかいない!


幼い頃、「この世には私しかいない!」と感じて、がくぜんとした。

目の前に見える世界が広がっているだけ。

私がぐるっと向きを変えると、そこに世界が現れるだけ。
見えていない所は、なにも、ない。自分の後ろも、なにもない。

母のように見えるものも、父のように見えるものも、ただそこに見えているだけで、かれらの後ろには何もない。ハリボテの世界。

この世にはたった一人、私がいるだけ。
という実感。


それが恐ろしくて、いつも母の背中を触っては、
「あ、あるある。ここにおかあさんがいるんだ」
と、確認していた。



あれから50数年。
私以外に人がいるという証明は、いまだに誰もしてくれない。


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