2010年8月10日火曜日

あったらいいかも〜?




石けんなし生活を初めて1年と5ヶ月。人の身体に石けんというもんは必要ないという事が分った。畑に肥料も農薬も入れないで育てても野菜は育つという前提で今実験をしている。畑は身体と違って時間の流れが遅い。だからなかなかその答えが見えて来ないが、なぜか心の奥には確信のようなものがある。

石けんも、肥料も、ニンゲンが勝手に「あったらいいかも〜」といって付け加えたものだ。
石けんできれいになったつもりでいたら、皮膚がバランスを崩し、それを補うためにクリームや化粧水がいる。しかしそれも不自然なものだから皮膚がかぶれる。
肥料をやって大きな野菜が育ったはいいが、土地に不自然なものが入って、虫が湧く。それを補うために、農薬がいる。
ニンゲンの「あったらいいかも〜」が、よけいな仕事を生む。

このあったらいいかも〜は、心が作り出す。あったらいいかも〜は、欲なんだけど、元は恐怖から出た発想だ。
「もしこうなったらどうしよう」
「ああ、虫にくわれた。これからもっとひどいことになったらどうしよう」
心はどんどん恐怖を生産してくれる。さっきまでこれがテーマだったのに、次の瞬間あっちのテーマに飛ぶ。そうやって心は四六時中動き回っている。その支離滅裂な動きをする心を人はあまり意識していない。そうなるのが当たり前だと思っているからだ。しかし昔の人はその事を知っていた。心を静める事がいかに大事かを。だから瞑想という方法論もできたのだ。

今の時代は、その心の動きを野放図にされている。メディアは次々に心配事をあおる。殺傷事件、インフルエンザ、保険、年金問題、政治家の不祥事。未来を心配しろと訴えて来る。
「あなたはそれでいいんですか?」
「地球にやさしくしてますか?」
「あなたのためだから」
「私の年収低すぎ!?」

最近のコマーシャルのコピーにはぞっとさせられる。一体どんな無神経なアートディレクターが、そのコピーにオッケーを出すのだろう。
そんな種類の言葉は直接的にわたしたちの良心や恐怖心に入り込んで来る。そのコピーは静かに心に作用し、これでいいんだろうか私、地球にやさしくない、このままでいいんだろうかと、絶えず今ある状態がダメなんじゃないかと思わされている。「このままでいてはいけないのよ、あなた」とおどされているのだ。そして人はその言葉に知らず知らず誘導されていくのだ。
「あったらいいかも〜」は、そういう恐怖の上に乗っかっている。保証のようなもんだ。そうやってアレもこれも恐怖心から逃れるために付け加えていくのだ。。。


石けんもいらないし、肥料も農薬もいらない生活が、ニンゲンになにかを言おうとしているような気がする。始まりは心なのだ。自分の心の動きを見る事、知る事がまずは必要な気がするのだ。政治を疑ったってよくなりゃしない。近所のおばチャンを恨んだってよくなりゃしない。イノシシを怒ったってよくなりゃしないのだ。

まずは自分の頭の中が常になにかをブームにして考えていないかを探ってみるのはいいかもしれない。するとたいてい似たようなパターンの考えがぐるぐる回っている。その人特有の心の渦がそこにあるのだ。


絵:似顔絵

6 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2010年8月10日 12:31

    およそ人間だけが”想像だけで恐怖できる”動物ではないかと思っちょります。
    笑ったり、欲しがったり、貯めこんだり、怒ったり。は全てとは言わないけど他の動物でもできる。

    そういえば、こないだMRI/MRAの検査をしました "身動きできない状態"で"仰向け"で"とても狭いとこ"で数十分・・・。
    私にとって、もっとも恐怖の環境のひとつでした・・。パニックになることもなく、無事帰還できました。明るかったからかな・・・?

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  2. そーいえばそーやなー。
    題してニンゲンは、「勝手に恐怖製造動物」
    恐怖工場でせっせせっせと恐怖を製造しまんのや〜。
    「恐怖、おひとついかがでっか?」なんちゃって。

    MRI?おなか入った?途中でつまらなかった?
    なにはともあれ、無事ご帰還、おめでとーございます。

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  3. こんにちわ。

    >人間は”想像だけで恐怖できる”動物

    すごい!確かにそうかもしれないです。

    私事ですが。
    ここ数年、先のことばかり考えて心配して、先回りして先手を打つことばかりしていた私。これが振り返ればことごとく、失敗の連続でしたー。

    それに懲りて、今、先のことをあまり考えないように生活しています(笑。キケンな"無計画人生"と紙一重ですが、しばらくこの路線でいってみようかと♪

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  4. くるりさんいらっしゃ〜い。

    安保徹先生もいってます。
    ガンになる原因は、「働き過ぎ、悩み過ぎ、くすりの飲み過ぎ」
    つまるところ、病気の元の原因は心配し過ぎなんですわい。
    心配事を想像して恐怖する動物なのだ〜。

    キケンな無計画人生?人生ほど計画どおりにいかないものはないと思うな。わたしゃ、人生に計画はたてられない!と開き直っております。

    未来とは偉大な未知なのだ!

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  5. つくしさん、こんにちは!野人さんのブログからたどり着きました、オーストラリア在住のMACといいます。たまたま野人さんの考えに共鳴して、石鹸なしの生活を2ヶ月ほどしてます。なかなかいいもんですね。つくしさんの深いお考え、とっても参考になります。
    これからも寄らせてください。
    また最新のブログ、おっしゃるとおり、ニンゲンは自ら勝手に恐怖感を作ってしまう悲しい生き物ですね。
    そういうもんだという割りきりというか、開き直りが少しは生き方をゆるくするのかもしれません。。。。かな?
    時々寄らせてください。

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  6. MACさま、オーストラリアからようこそ〜。

    石けんなし生活2ヶ月目ですか!うほほ〜、みんなやりますねえ。
    野人さんはすごいなあ。いろんな人をくっつけて来る。
    やっぱりみんなどこかでおかしいと思っている事が、あっちこっちで吹き出し始めているんでしょうね。

    MACさんも西洋文化の中にいるので、色々感じられているのではないかと思います。私もアメリカで「なんか変だ」と思う事がいっぱいありました。それが野人さんの言葉でふっきれた。自然という肉体とはニンゲンのちっこい頭であれこれ闘うものではない。そのままですごいんだと。

    恐怖は勝手に自分で作っているようなのです。恐怖を否定したり、そこから逃げたりするのではなく、恐怖というものをまず理解する事からはじまるんじゃないでしょうか。

    また寄ってください。
    私もそちらのブログのぞきにいきま〜す。

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