2009年9月27日日曜日

奇跡の畑と呼んでください




「こんなんなっちゃって...。
ここまできたらどうしようもないわねえ....」

近所で畑をやっているおばちゃんが、久しぶりにうちの畑にやってきてつぶやいた。
おばちゃんの目に映る目の前の世界は、草がぼうぼうのどうしようも手のつけられなくなった最悪の畑に見えるらしい。

「草に栄養取られちゃうわよ」
「へえ、すんません。忙しいもんで...。まあこんなだらしない私ですが、ひとつ大目に見てやっておくんなまし」
と、わけのわからない江戸弁を使う私。

こんなんなっちゃって...じゃなくて、わざとこんなふうにしちゃったわけですが、おばちゃんは何年も何十年も野菜を育ててきた人。そのおばちゃんに「草、はやかしてマス」なんてじぇったい言えない。そうか、これが自然農や自然栽培をする人たちの苦悩なんだな。とりあえず、その場をごまかしてやりすごすしかない。だって、草を敵とする発想と、草を見方にする発想には決定的な違いがあるのだもん、その違いをそんじょそこらのガキの私がおばちゃんを説得させられるわけがない。離れ小島のようなところにある畑ですくわれた。これがみんなでいっしょに区画をわけてやる畑だと、とてもじゃないがまわりの軋轢に負けてしまうだろう。

「あら、ニンジンが出来てるじゃないの」
とおばちゃんはニンジンを草の中から見つけてくれた。
「ええ、ここにもキュウリ出来てます」と、すかさず私。
「あら!ちょうどいい大きさねえ」
「『(草の中でも野菜が育つ)奇跡の畑』とでも呼んでやってください」
というと、おばちゃんは笑ってくれた。

絵:coopけんぽ表紙「稲刈り」

6 件のコメント:

  1. 奇跡の畑のネーミングが勝ちましたね。
    しっかり実った野菜を見つける喜びもなおさら。

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  2. 草とも虫とも、ほんでもって人とも敵対しない関係が一番。
    そこには笑いが一役買ってくれます。
    これを「無敵」というらしい。

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  3. まいうぅーパパ2009年9月28日 22:02

    ”草とも虫とも、ほんでもって人とも敵対しない関係が一番”
    ってのが理想だけれどね・・。
    既に渦中だったりしてますからね。orz

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  4. 渦中にいるばあいは、
    「ああ、おれっていま怒ってんだなあ〜」とか「あいつのこと敵視してるぜ」とか、自分の感情を人ごとのように観察してみるのもおもろいで。小説の主人公のような気分になって。

    ところで、いつも出てくる「orz」ってなんだ?

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  5. まいうぅーぱぱ2009年10月1日 0:06

    orzは、膝を折ってがっくししている様子の顔文字ですがね。

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  6. アーーーーっ!ホントだ!
    今、そう見えた!

    しょーもなー....。
    悩んでソンした。

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