2009年7月2日木曜日

マイケルジャクソン





マイケルジャクソンが亡くなった。
美しいものが好きな私としては、彼の姿を見るのは、いつもたのしみだった。あの動き、あの歌、そしてあの美貌。すべてそろっていた。とくに『バッド』の頃が一番美しかったなあ。

才能、名誉、財産、すべてが彼のもとにあったのに、人とは厄介なものである。もっとほしいものがあった。それはたぶん白人である自分。あの頃、黒人差別はひどいものだった。それにあわせて、小さいとき兄妹に鼻がおっきいと言われたらしい。以来本人はずっと気にしていた。だから整形をした。鼻も細く、肌も白く。それは私たち凡人が考えるよりも徹底していたのかもしれない。なぜなら彼の子供たちでさえも、白人のようだ。噂では、彼の血脈は入っていないとも聞く。そこまでして、黒人である自分を否定していたのか。
結果的にそれは薬の乱用を招き、尋常ではないほどからだを蝕んだ。

だが、彼は黒人であるが故にあの才能は開花したのだ。そのことを決定的に忘れている。あのリズム感、声、うねるような肢体。あれは白人には出せない。やっぱ黒人でなきゃ出てこない。

そんな子供っぽい発想は、ネバーランドをみればわかる。きっと子供時代、彼は子供らしい遊びをして来れなかったんだろうな。その飢えた気持ちが、極端な発想をおこさせる。何かが足りない、何かを足そう.....と。


人はそうやっていつも足りないものを探し求める。その根底には、自分は完璧ではないという思いが横たわっている。あのマイケルジャクソンでさえも足りない足りないと思っていたのだ。こうなってくると、お金や名誉の問題ではなくなってくる。お金があったら満ち足りるわけでも、権力があったら満ち足りるわけでも、みんなに愛されたから満ち足りるわけでもないのだ。凡人はどーすりゃいいのさー。

すべては自分自身が自分を満たす。つまり自分を全部受け入れることでしかないのかもしれない。これは外から受け入れろと言われることではない。自らが意識的に自分を認めていくことだ。マイケルは自分自身を受け入れることが出来なかった。黒い肌をした自分を、子供時代の満たされなかった自分を。
もし彼が黒い肌を受け入れていたなら、私たちはもっと彼の活躍を見続けていられたのかもしれない。


絵:「死美人」文庫表紙

6 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2009年7月3日 0:42

    それでも、”もし彼が黒い肌を受け入れていたなら”私たちは彼の活躍を見ることがなかったかもね。
    せいぜいジャクソン5、までかな・・・。
    さて、どっちが彼の幸福だったんでしょうか??

    昔読んだ本で、ある大金持ちに催眠術をかけて時間をさかのぼらせたら、彼は未熟児で、おさんに立ち会った産科の先生が「こんなチビは、大した奴になれないだろう。」って言ったのを記憶していて、つまり彼は、生きてる間、ずーっと不全間に悩まされていた・ってぇオチなんですが、きっと我々も多かれ少なかれ、子供のときに失った不全間を埋めるために生きてるんだろうなぁ・って思います。

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  2. それは言えてる。
    ニンゲン無意識の中に飢餓感があるが故に行動する生き物であるものね。

    その大金持ちさんは、その言葉を聞いて「このやろー。いまにみてろ」って思ったんかもね。
    実は本人がその先生にその言葉を言わせてそれを励みにしてたりして。
    足りないものに一生悩まされるということもあるけど、それがバネにもなる。マイケルは劣等感がゆえに美しい曲を作った。

    ニンゲンって時々マゾかな?とおもうよ。

    不全間は、諸刃の剣。道具として使い方次第で突出した芸術を生み出すということなのだな。

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  3. まいうぅーパパ2009年7月3日 14:39

    本によると、その大金持ちは、いくら働いて、大金を稼いでも稼いでも「まだロクなもんじゃない!稼ぎが足りない!」って言うプレッシャーを受けるもんで、働き続けた。っていうおちでした。
    無意識の不全感から来たもので、反骨心からではなかったようです。

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  4. 人はホントに無意識に動かされてるわけだ。
    働いても働いても満足できないわけだ。
    してその人は、その洗脳からときほぐされたのかい?

    なんだか暗くなっちゃうねえ....。たぶん大なり小なり私らもそういう洗脳受けていると思う。無意識深ーく。何気なく言われたことがあだになって。
    ひえ〜、そうなると、なにもしゃべれな〜い。

    でもさ、本当はそうは思いたくない私。そういわれたがゆえに、がんばれたし、そしてその催眠術をかけられたことによって、その原因が分かった。で、そのおっちゃんはそこからなんだと思うな、その人が本当の自分になるのは。
    催眠術によって、原因を知らされたことにも意味があると思う。それを乗り越えられる時期が、そのときその人に来たのだとおもう。外から見ると、そこでちゃんちゃんってなっちゃっちゃって「ああ、人生って悲劇だ...」というおちになるけど、その原因が分かったら、なんでがむしゃらになったのかがわかったのだから、それが意味をなさないことまで理解できるはずだ。
    そこからはその人の心の習慣を、自分自身で変えていくことなのだとおもう。
    これはもう、たった一人の孤独な作業でしかない。でもすごく価値のあることなのだ。

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  5. まいうぅーぱぱ2009年7月7日 1:23

    幸か不幸か、その本の内容を全部記憶
    していないんですが、本のコンセプトは
    乳児期以前の記憶。って言うものだった
    ので、たしかその後どうなったのかは
    明らかにはされていなかったように、
    思います。
    んでもきっと、教えられたとしても、簡単に
    変われるもんじゃぁない。って思います。

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  6. そーなのだ。
    その作業はとてつもなく大変なのだ。

    私も自分の癖からはなれられずにいます。

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