2008年10月23日木曜日

ゴミがあるワケ



きのうの『ニューヨークのゴミ』のつづきです。
ちょっと重たいけど、まあ、読んでやってくださいまし。


2:『ゴミの理由』

 どうしてこれほどまでに街にゴミがあるのか、最初私には理解できなかった。しかしだんだんアメリカ人の考え方を探っていくと、ある事が判明してくる。
『ゴミを捨ててやっているから、それを拾うという行為が出来る。だからゴミを拾うという仕事を作ってやっているのだ』という考え方.....。

 これって、メイドという仕事に似てないだろうか。それはタクシーやレストランのチップに共通する上下関係にも似ている気がする。なんとなく奴隷制度のにおいがしないてこない....?
 
 アメリカ人の中流クラスには、どこでもメイドさんがいる。私の英会話の先生のお宅にも、いつもメイドさんがいた。だから部屋中ピカピカ。いつも授業はキッチンでやっていたので、その家の流しの様子がよくわかる。お鍋におこげ一つついていない。 

 私にとって、他人さまが自分の家でそうじをしてくれていると思っただけで、なんだか居心地が悪い。手抜きをしているような罪悪感に陥って、さっさと自らそうじをしてしまう。何より自分で汚したものを人様に洗ってもらう....ということへの抵抗もある...。しかし彼らにとって寝室でハダカでいて、そこにメイドさんが用事で入って来ようが全く気にしないのである。これはメイドさんを人間としてみていないのではないか?とまで思ってしまうのである。ちなみにそれら仕事につく人々は、決ってcolorsだ。黒人や中南米人。ブルーカラーの仕事についた白人はほとんどみたことがない。
 
 だが日本人にとって、そうじをするという行為は、たんに部屋をきれいにするという物理的なものだけではなく、心をきれいにするという精神的なおそうじにもつながってくる。 その根底には、『清め』という日本独自の美しい文化がみえてくるのだ。
 
 日本人の私たちがはじめて公の場でそうじをするのは、学校の教室。授業が終わると、最後に必ず席をうしろによせて全員でそうじをする。自分たちが汚したものは、自分たちできれいにする。はっきり言って、その頃は面倒くさかったけれど、今になって思えば、そうじが終わったあとのなんともいえない開放感は、喜びにまで変わる。こういう行為が、日本人ののちのちの行動や、思いやりという形で影響を与えている気がする。


 ところで、アメリカ人は授業が終わってそうじをするのか?
 答えは、「ノー。」

 英会話の先生に聞いた話。彼女はその道30年のベテラン国語教師。
「先生、日本では子ども達が授業が終わった後、自分たちで教室のそうじをするのよ」
「そうなの!? アメリカじゃ、そうじは清掃員がするものよ。でもそれを子ども達にさせるってのも、いいアイディアね」 だそうだ。
はなっから『自ら、そうじをする』という発想はない。アイディアの一つにされてしまった。


 こんな小さなところからも文化の違いというのは見えてくる。欧米を讃歌する授業もいいけれど、そんな日本の何気ない行為について誇れる英会話が出来るようになってくれたら、もっと世界を公平な目で見る事が出来るのではないだろうか?

エッセイ:東京書籍『教室の窓』掲載

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アメリカは平等の国といわれているが、住んでみると、まったく逆。
日本のあり方の方がよっぽど『平等』と言われるものに近い。
じつは『平等』という言葉は、そこにはホントに平等というものがないから「平等!平等!」とうったえていいるんだけなんじゃないか?ともおもえてくる。
平等なら、白人がメイドになってもいいはずではないか。見た事がないもん。

ゴミから、こんな話にまでいってしまった。


絵:女性誌『Grace』掲載

2 件のコメント:

  1. ゴミの話から…平等の意識の話にまで…さすが!
    私も学校の時は『今日は掃除当番か~あぁ~』って
    思ってました。『〇〇さんが、きのう掃除当番サボりました~』みたいな。笑
    教室は当たり前、トイレ掃除も、教頭室掃除まで順番が回ってきてました。(教頭は、自分でしてなかったのね。)
    アメリカにその習慣がないことにビックリです。
    私も、つくしさん同様に自分で片付けないと、居心地悪いかも。うん、きっとそうです。

    お相撲さんは、体が大きすぎて…自分でお尻が拭けないと聞いたことがありますが…日本の国技!なのにある意味、アメリカンですね!

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  2. おとうぷさん、まいどおおきに!

    お相撲さんはアメリカン!言えてる(笑)。

    いや私はそれほどきれい好きじゃあないですけど、ほどほどに掃除はしますってなかんじで。並じゃないでしょか。

    トイレ掃除もやだったねえ。今でもいやだけど。でもやり終わった後の爽快感は、やった人しかわからない至福の感覚〜。

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