2008年7月30日水曜日

「ひまわり」


 
小学生の時、叔母の家にあった画集で、はじめてゴッホのひまわりの絵をみた。衝撃を受けた。うまいのかへたなのかなんだかわからない。だけどそこにはものすごいエネルギーがあった。そのまま叔母からその画集をもらいうけて、食い入るように眺めた。その絵から目が離せなかった。
「これはキチガイの絵だ...」子供ながら、そこには尋常ではないなにかに気がつく。それで、勝手に絵を描く人イコールキチガイになる、という単純な構図を作り上げた。それ以来、単純な私は、絵を描いている人を見ると「この人、頭がおかしいのかなあ...?」という勝手な色眼鏡で見る事になる。しょうがない。人間というものは、最初の印象がパブロフの犬のようにくっついてしまう。あのとき、母親にでも「絵を描く人はおかしいの?」なんて聞いていたら「ばかね。そんなわけないでしょ」とその場で訂正されたに違いない。だが不幸にも、そんなことは聞いてもみなかった。
あろうことか、その私が絵を描いて生活する事になった。その結果、ある結論に達する。
絵を描く人イコールキチガイ、ではなく、私が「おかしい」のだという事が判明(笑)。私はあの時、ゴッホの絵の中に自分の狂気を見たのだ。絵はまさに、見る人の鏡になるというではないか。

ところでこの私の「ひまわり」は、みんなにどう映るんだろう?
月刊誌「ELSA』表紙掲載

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